心配は子供たちのことだけではありません。市バスの民営化の問題、無料で乗車できる高齢者の年齢引き上げなどもあります。この流れで行けば、障がい者の無料も危ういのではと心配しています。移動の確保は、ネットワークづくりの基盤を支えるところです。一番人口のボリュームゾーンも多い団塊の世代が後期高齢者に突入して、本当に超高齢化社会という状況を迎えようとしているのに開発にお金を費やして、コミュニティの足の確保にお金を使わず、削減の方向に行ってしまうのはなぜなのか。行政が、社会保障と財政のバランスだけで市の将来を考えているからではないでしょうか。市民の顔、暮らし、そして将来が見えてないんです。だからこそ、高層マンションを何個も立てるような計画が、農地のある地域に大した説明がないまま、ぼんと降りてくる。自然を破壊し、農地や山林の保水機能を失わせた後になって、防災のための地下の貯留槽を作るのに税金をかける。こんなアクセルとブレーキを同時にかけるような、矛盾した市政のあり方では、みんなが安心して暮らせる高槻市にはなっていきません。

 今まで述べたような循環を町に作り出して、スクラップ&ビルドによる「成長」から抜け出していければ高槻はもっと良くなります。安価で安全な食糧やエネルギー、それから水を多少なりとも自給でき、必要な品物がリサイクルによっても手に入り、防災に強い町。各地区の特色が大切にされ、近くに保育園や学校、図書館などの公共施設があり、暮らし方に選択の幅がある町。医療や介護、福祉が地域に密着できていて、困ったときには家に直に訪れてくれる町。そして少し出かければ豊かな自然や、歴史を楽しめる、そんな町であれば、ここでずっと暮らしたい、ここで子どもを育て、ここで年をとりたい、と思う市民も増えていくことでしょう。

 行政の当事者は一人一人の市民なのです。アンケート、タウンミーティング、オンラインを活用した政治参加、住民が決める予算枠の設定など、方法はいろいろ考えられます。各地区の事情にあった町づくり、安心な未来のための地域づくりのために、最終的には住民がそのネットワークのなかで、行政に直接意見を伝えられるしくみが必要と考えています。