Q 吉本さんは三人の男の子のお父さんでもありますが、高槻市の子育て、教育をどのようにしていきたいですか。

A  明石市の、子育て支援の施策がひとつ、良い手本になると考えています。現在高槻市でも医療費助成や、中学校の給食無償化、小学校35人学級などがすすんでいますが、明石市は30人学級、幼保の副職費の無料化、おむつ代の補助、公共施設の入場料無料などもあり、まだまだ、市がとりくめることがたくさんあります。また明石市はそのような子育て施策を強力にアピールすることで、子育て世帯の移住も促進しました。マンションなど、ハードにお金をかけなくても、住民が増え、税収を増やすことができることを示しました。

 あと今、一つ気がかりなことが、富田小・赤大路小・四中の小中一貫校計画です。この計画をモデルケースとして全市に広げていく方針を高槻市はたてています。小中一貫校は小学校と中学校の連携が密になるという点ではよいかもしれませんが、大規模校になってしまい、子供一人あたりの面積が減ってしまうことで、過密な状況が生まれます。また小学校・中学校の掛け持ちの教員が配置され、教員数が減ってしまう可能性があります。通学路の安全と言った心配の声も聞いています。また小中学校は避難所機能を担っており、小中学校を減らすと地域の防災拠点が減ってしまいます。富田・赤大路地域は丘陵地域にあり、水害や地震に比較的強く、高槻東部地域の防災拠点機能として小中学校を存続し、施設の長寿命化するために補修すべきだと考えます。分散している方がいいといえば、保育園もですね。高槻市では待機児童が解消したということになってはいますが、隠れ待機といわれる実態もあります。幼稚園や保育園が中心の地域に集中しているために、なかなか使いづらいくなっています。必要な社会資源が歩いていける距離にあることはとても重要です。

 小学校と中学校の連携は、教員の加配によって、先生の負担を減らす代わりに、十分な引継ぎ、進学後のフォローがあればできるはずです。それぞれの学校の歴史的に培って来た教育実践のよさを残すことは、ある学校で不適応になった子供さんをたとえば学区をこえて別の環境を用意できる、市の教育の幅を広げることにもなると思います。

 諸外国と比べても、日本の子どもの自己肯定感や満足感の低さは、悲惨です。行動心理学に通じている支援者は、叱りゼロで教育は成り立ち、丁寧に行動を観察してほめるタイミングや長所を伸ばす視点を逃さないことが大切だと指摘しています。10代まではほめつくして、内省が生まれてくる時の自発性に任せる、自ら考えたり、工夫したり、学びの「内発的動機付け」を高めることの方が大切で、そのような教育を高槻で実現するための環境を整えたいです。一つの箱に子どもたちを入れてしまう小中一貫校構想ではなく、小規模な学校を守り、各学校の連携を強化することをむしろモデル事業としていきたい。教育を手厚くする人員配置にもっと予算を使うべきです。

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