Q 高槻市のインクルーシブ教育についてどう考えますか。

 A 今一番気になっていることが、文科省から週の半分以上は支援学級でという通知が来たことです。高槻市では週の半分以上を支援学級で授業を受ける割合は小・中ともに7.3%、3.4%と少ないものの、支援学級での授業時数は週平均で8時間以上と、決して支援学級でまったく授業を受けていないような状況ではありません。むしろこの数字は、生徒個々の状況にあわせて個々人それぞれの教育課程を編成しつつ、基本は「通常の教室」でみんなと「ともに学び、ともに育つ」大阪で進められてきた支援教育を実践してきた証、よりすすんだインクルーシブ教育となっていると考えます。

 今回、紋切り型の通知が来たために、現場は混乱しているかと思います。私は高槻市は今後も、今までの個々の生徒に合った形で柔軟に支援学級を利用してもらいたいと思います。

 そもそも、障害は個人の問題ではなく、社会の側がハードルを設けてしまう偏見や制度の面の問題です。そういう障がいの社会モデルについての理解が必須です。これは、「ともに学ぶ、ともに育つ」教育の基本的理念であるかと思います。私自身、精神科の訪問看護をしているのですが、発達障害・自閉症スペクトラムへの対応は、基本的に、周囲の人が、その個別性を理解することや環境の調整に尽きるのではないかと思います。一見、障がいのように見えるのですが、別の側面から見ると、たぐい稀な才能が隠れていることもあります。エジソン、アインシュタイン、グレタ・トゥンベリ、米津玄師さんなどですね。