Q 吉本さんは気候変動の問題にずっと取り組んできました。高槻市は2030年度までに温室効果ガスを30%削減する(2013年度比)という目標をかかげています。高槻市の地球温暖化対策をどのように思いますか。

「温暖化対策に行政がとりくむことは、地元の産業にも、市民の暮らしにも役立つ、一石三鳥なんです」

A 市は前計画において、そもそも「2020年度までに温室効果ガスを20%削減する(1990年度比)」と言う目標をかかげていましたが、10.2%しか達成していません。アクションプランの中身を見ると、啓もうというか、情報提供がほとんどで、実行は家庭や事業所まかせ、これではやる気も出ませんし、解決は難しいです。地球温暖化の問題は生活の困難に直接かかわらないと考えられている方は多いかもしれません。けれども、エネルギーの無駄遣いを減らすことは節約になりますし、エネルギーを市で生産することができれば、高価なエネルギーを外から買わずにすむわけで、財政的なゆとりにもなります。暮らしにも役立ち、いざというときに使えるエネルギーやあることは、防災にもなります。

 具体的には、一つは生ゴミ、庭木ゴミの堆肥化と、リサイクルの推進です。家庭ごみの30%は生ごみ、庭木ゴミです。ごみ焼却は温室効果ガス排出の大きな要因の一つです。なかでも生ごみや庭木はほとんどが水分です。水を燃やすために、ゴミ焼却の時に重油や灯油をいれて焼却して、焼却炉に大きな負担をかけてCO 2 を排出している。一方で高槻では放置された竹林が問題になっています。放置した竹林が増えれば地すべりの可能性を増加させます。伐採した竹を粉砕した竹パウダーは、生ゴミなどから堆肥化を促進させる優良な資材です。炭素の比率も高く、生ゴミの水分を吸収し、生息している乳酸菌をが大量に存在するため、堆肥化づくりに活用できるものです。竹パウダーによる生ゴミの堆肥化事業は放置竹林を改善し、生ゴミを減らし、堆肥を作ることができる、一石三鳥です。そして家庭菜園や農地に入れることで、地産地消の減農薬野菜作りに役立てることができます。

 徳島県上勝町にはゴミ焼却を極力減らすための拠点があります。生ごみの堆肥化とともに、多品目の分別回収をすすめるゼロウエィストセンター https://why-kamikatsu.jp/ です。私は実際に見学に行ったのですが、ゴミをそこで分別すればするほど、再利用できる、資源になっていく、ゴミがゴミに見えなくなるんです。そういうセンターでさらにたとえば中古品の修理や家庭内で使わなくなた物やフードロス食品の集めて、必要な人に渡すことができるようにしたいです。町の「循環センター」ですね。そんなセンターがあれば暮らしも助かりますし、そこで雇用が生まれます。これも一石三鳥です。

 ところで、家庭ごみというのは、家庭の様子を伝えるものでもあります。私は仕事柄多くの家に訪問してきましたが、病や障害を抱えた方の部屋は乱れやすく、ゴミ捨ての支援が時に課題になります。フードロス食品や、中古品のリサイクルをになう「循環センター」は地域で見過ごされているそういう方を発見する拠点にもなりえます。市民とセンターと医療福祉が連携することで、暮らしを守る地域コミュニティを作ることができます。

 もう一つ提案したいのは、再生エネルギーの生産を行うことです。各家庭・マンションなどで設置できる小規模で修理できる再生可能エネルギーを推進する。たとえばヨーロッパのドイツのヴォルフォーゲンやスペインのカディス、イギリスのプリマスなどでは住民と地方自治体が出資する協同組合による再生可能エネルギーの普及が行われています(https://maga9.jp/211215-2/)。そのような試みを参考にしたいです。先ほど述べたゴミの減量などと組み合わせれば、高槻市が利用している今のエネルギーの7割ほどは2030年に自給できるという試算(環境市民会議試算)もあります。そうなれば、エネルギー価格が高騰しているいま、暮らしも財政もとても助かりますし、独自のエネルギー源がもてるということは災害時の備えにもなります。何度も言って恐縮ですが、本当に一石三鳥なんです。